# apt #### 目次 1. [説明 - モジュールの機能とその有益性](#module-description) 1. [セットアップ - apt導入の基本](#setup) * [aptが影響を与えるもの](#what-apt-affects) * [aptの使用を開始する](#beginning-with-apt) 1. [使用 - 設定オプションと追加機能](#usage) * [GPGキーの追加](#add-gpg-keys) * [バックポートの優先度を上げる](#prioritize-backports) * [パッケージリストの更新](#update-the-list-of-packages) * [特定のリリースのピン止め](#pin-a-specific-release) * [PPA (Personal Package Archive)レポジトリの追加](#add-a-personal-package-archive-repository) * [HieraからのAptの構成](#configure-apt-from-hiera) * [デフォルトのsources.listファイルの置き換え](#replace-the-default-sourceslist-file) 1. [参考 - モジュールの機能と動作について](#reference) 1. [制約 - OS互換性など](#limitations) 1. [開発 - モジュール貢献についてのガイド](#development) ## モジュールの概要 aptモジュールを導入すると、Puppetを使用してAPT (Advanced Package Tool)のソース、キー、その他の構成オプションを管理できます。 APTとは、Debian、Ubuntu、およびその他いくつかのオペレーティングシステムで利用可能なパッケージマネージャです。aptモジュールは、APTのパッケージ管理を自動化するのに役立つ一連のクラス、定義型、およびfactsを提供します。 **注**:Puppet 7 より前は、このモジュールがどのバージョンのを正しく自動検出するか 実行している Debian / Ubuntu(または派生物)、 `lsb-release`パッケージが インストールされています。 Puppet 7 では、 `lsb-release`パッケージは必要ありません。 ## セットアップ ### aptが影響を与えるもの * システムの`preferences`ファイルと`preferences.d`ディレクトリ * システムの `sources.list`ファイルと`sources.list.d`ディレクトリ * システムレポジトリ * 認証キー **注意:** このモジュールには`purge`パラメータがあります。このパラメータを`true`に設定すると、 ノードの `sources.list(.d)`および`preferences(.d)`の構成のうち、Puppetを通して宣言されていないものがすべて**破棄**されます。このパラメータのデフォルトは`false`です。 ### aptの使用を開始する デフォルトのパラメータでaptモジュールを使用するには、`apt`クラスを宣言します。 ```puppet include apt ``` **注意:** メインの`apt`クラスは、このモジュールに含まれるその他すべてのクラス、型、定義型によって要求されます。このモジュールを使用する際は、このクラスを必ず宣言する必要があります。 ## 使用 ### GPGキーの追加 **警告:** 短いキーIDを使用すると、衝突攻撃が有効になる可能性があり、セキュリティに深刻な問題が生じます。常に、完全なフィンガープリントを使用してGPGキーを識別することを推奨します。このモジュールでは短いキーの使用が許可されていますが、それを使用した場合、セキュリティ警告が発行されます。 `apt::key`の定義型を宣言するには、次のように記述します。 ```puppet apt::key { 'puppetlabs': id => '6F6B15509CF8E59E6E469F327F438280EF8D349F', server => 'pgp.mit.edu', options => 'http-proxy="http://proxyuser:proxypass@example.org:3128"', } ``` ### バックポートの優先度を上げる ```puppet class { 'apt::backports': pin => 500, } ``` デフォルトでは、`apt::backports`クラスはバックポート用のピンファイルをドロップし、優先度200にピン止めします。これは、通常のデフォルト値である500よりも低いため、`ensure => latest`に設定されているパッケージは、明示的な許可がない限り、バックポートからアップグレードされることはありません。 `pin`パラメータを使用して優先度を500に上げると、通常のポリシーが有効になり、Aptは最新のバージョンをインストールするか、最新のバージョンにアップグレードします。これはつまり、`package`リソースの`ensure`属性を明示的に`installed`/`present`もしくは特定のバージョンに設定していない限り、あるパッケージがバックポートから利用できる場合は、そのパッケージと依存関係がバックポートから取得されるということです。 ### パッケージリストの更新 デフォルトでは、`apt`クラスをインクルードした後の最初のPuppet実行時と、`notify => Exec['apt_update']`が発生するたびに(別の言い方をすれば、構成ファイルが更新されるか、関連するその他の変更が行われるたびに)、Puppetは`apt-get update`を実行します。`update['frequency']`を'always'に設定すると、Puppet実行時に毎回更新が行われます。`update['frequency']`は'daily'や'weekly'に設定することも可能です。 ```puppet class { 'apt': update => { frequency => 'daily', }, } ``` `Exec['apt_update']`がトリガされると、`Notice`メッセージが生成されます。デフォルトの[agentロギングレベル](https://docs.puppet.com/puppet/latest/configuration.html#loglevel)は`notice`であるため、このレポジトリの更新は、ログおよびagentレポートに記録されます。[Foreman](https://www.theforeman.org)など、一部のツールでは、このような更新通知が重要な変更としてレポートされます。これらの更新がレポートに記録されないようにするには、`Exec['apt_update']`の[loglevel](https://docs.puppet.com/puppet/latest/metaparameter.html#loglevel)メタパラメータをagentロギングレベルよりも高い値に設定します。 ```puppet class { 'apt': update => { frequency => 'daily', loglevel => 'debug', }, } ``` ### 特定のリリースのピン止め ```puppet apt::pin { 'karmic': priority => 700 } apt::pin { 'karmic-updates': priority => 700 } apt::pin { 'karmic-security': priority => 700 } ``` ディストリビューションのプロパティを使用して、より複雑なピンを指定することもできます。 ```puppet apt::pin { 'stable': priority => -10, originator => 'Debian', release_version => '3.0', component => 'main', label => 'Debian' } ``` 複数のパッケージをピン止めするには、配列またはスペース区切りの文字列としてその情報を`packages`パラメータに渡します。 ### PPA (Personal Package Archive)レポジトリの追加 ```puppet apt::ppa { 'ppa:drizzle-developers/ppa': } ``` ### `/etc/apt/sources.list.d/`へのAptソースの追加 ```puppet apt::source { 'debian_unstable': comment => 'This is the iWeb Debian unstable mirror', location => 'http://debian.mirror.iweb.ca/debian/', release => 'unstable', repos => 'main contrib non-free', pin => '-10', key => { 'id' => 'A1BD8E9D78F7FE5C3E65D8AF8B48AD6246925553', 'server' => 'subkeys.pgp.net', }, include => { 'src' => true, 'deb' => true, }, } ``` Puppet Aptレポジトリをソースとして使用するには、次のように記述します。 ```puppet apt::source { 'puppetlabs': location => 'http://apt.puppetlabs.com', repos => 'main', key => { 'id' => '6F6B15509CF8E59E6E469F327F438280EF8D349F', 'server' => 'pgp.mit.edu', }, } ``` ### HieraからのAptの構成 ソースをリソースとして直接指定するかわりに、単純に`apt`クラスをインクルードして、値をHieraから自動的に取得するように構成できます。 ```yaml apt::sources: 'debian_unstable': comment: 'This is the iWeb Debian unstable mirror' location: 'http://debian.mirror.iweb.ca/debian/' release: 'unstable' repos: 'main contrib non-free' pin: '-10' key: id: 'A1BD8E9D78F7FE5C3E65D8AF8B48AD6246925553' server: 'subkeys.pgp.net' include: src: true deb: true 'puppetlabs': location: 'http://apt.puppetlabs.com' repos: 'main' key: id: '6F6B15509CF8E59E6E469F327F438280EF8D349F' server: 'pgp.mit.edu' ``` ### デフォルトの`sources.list`ファイルの置き換え デフォルトの`/etc/apt/sources.list`を置き換える例を以下に示します。以下のコードと合わせて、`purge`パラメータを必ず使用してください。使用しない場合、Apt実行時にソース重複の警告が出ます。 ```puppet apt::source { "archive.ubuntu.com-${facts['os']['distro']['codename']}": location => 'http://archive.ubuntu.com/ubuntu', key => '630239CC130E1A7FD81A27B140976EAF437D05B5', repos => 'main universe multiverse restricted', } apt::source { "archive.ubuntu.com-${facts['os']['distro']['codename']}-security": location => 'http://archive.ubuntu.com/ubuntu', key => '630239CC130E1A7FD81A27B140976EAF437D05B5', repos => 'main universe multiverse restricted', release => "${facts['os']['distro']['codename']}-security" } apt::source { "archive.ubuntu.com-${facts['os']['distro']['codename']}-updates": location => 'http://archive.ubuntu.com/ubuntu', key => '630239CC130E1A7FD81A27B140976EAF437D05B5', repos => 'main universe multiverse restricted', release => "${facts['os']['distro']['codename']}-updates" } apt::source { "archive.ubuntu.com-${facts['os']['distro']['codename']}-backports": location => 'http://archive.ubuntu.com/ubuntu', key => '630239CC130E1A7FD81A27B140976EAF437D05B5', repos => 'main universe multiverse restricted', release => "${facts['os']['distro']['codename']}-backports" } ``` ### APTソースやプロキシのログイン設定を`/etc/apt/auth.conf`で管理する APTバージョン1.5以降、認証が必要なAPTソースやプロキシについて、ユーザ名やパスワードなどのログイン設定を`/etc/apt/auth.conf`ファイルに定義できるようになりました。この方法は、`source.list`内にログイン情報を直接記述するよりも推奨されます。直接記述した場合、通常、あらゆるユーザから読み取り可能になるためです。 `/etc/apt/auth.confファイルのフォーマットは、(ftpやcurlによって使用される) netrcに従い、ファイルパーミッションが制限されています。詳しくは、[こちら](https://manpages.debian.org/testing/apt/apt_auth.conf.5.en.html)を参照してください。 オプションの`apt::auth_conf_entries`パラメータを使用して、ログイン設定を含むハッシュの配列を指定します。このハッシュに含めることができるのは、`machine`、`login`、および`password`キーのみです。 ```puppet class { 'apt': auth_conf_entries => [ { 'machine' => 'apt-proxy.example.net', 'login' => 'proxylogin', 'password' => 'proxypassword', }, { 'machine' => 'apt.example.com/ubuntu', 'login' => 'reader', 'password' => 'supersecret', }, ], } ``` ## リファレンス ### Facts * `apt_updates`: `upgrade`で入手可能な更新がある、インストール済みパッケージの数。 * `apt_dist_updates`: `dist-upgrade`で入手可能な更新がある、インストール済みパッケージの数。 * `apt_security_updates`: `upgrade`で入手可能なセキュリティ更新がある、インストール済みパッケージの数。 * `apt_security_dist_updates`: `dist-upgrade`で入手可能なセキュリティ更新がある、インストール済みパッケージの数。 * `apt_package_updates`: `upgrade`で入手可能な更新がある、すべてのインストール済みパッケージの名前。Facter 2.0以降では、このデータのフォーマットは配列で、それ以前のバージョンでは、コンマ区切りの文字列です。 * `apt_package_dist_updates`: `dist-upgrade`で入手可能な更新がある、すべてのインストール済みパッケージの名前。Facter 2.0以降では、このデータのフォーマットは配列で、それ以前のバージョンでは、コンマ区切りの文字列です。 * `apt_update_last_success`: 直近で成功した`apt-get update`実行のエポックタイムによる日付(/var/lib/apt/periodic/update-success-stampのmtimeに基づく)。 * `apt_reboot_required`: 更新がインストールされた後に再起動が必要かどうかを決定します。 ### 詳細情報 その他すべてのリファレンスマニュアルについては、[REFERENCE.md](https://github.com/puppetlabs/puppetlabs-apt/blob/main/REFERENCE.md)を参照してください。 ## 制約 このモジュールは、[実行ステージ](https://docs.puppetlabs.com/puppet/latest/reference/lang_run_stages.html)に分割するようには設計されていません。 サポート対象のオペレーティングシステムの全リストについては、[metadata.json](https://github.com/puppetlabs/puppetlabs-apt/blob/main/metadata.json)を参照してください。 ### 新しいソースまたはPPAの追加 新しいソースまたはPPAを追加し、同一のPuppet実行において、その新しいソースまたはPPAからパッケージをインストールするには、`package`リソースが`Apt::Source`または`Apt::Ppa`に従属し、かつ`Class['apt::update']に従属する必要があります。[コレクタ](https://docs.puppetlabs.com/puppet/latest/reference/lang_collectors.html)を追加することによって、すべてのパッケージが`apt::update`の後に来るように制御することもできますが、その場合、循環依存が発生したり、[仮想リソース](https://docs.puppetlabs.com/puppet/latest/reference/lang_collectors.html#behavior)と関係したりすることがあります。以下のコマンドを実行する前に、すべてのパッケージのプロバイダがaptに設定されていることを確認してください。 ```puppet Class['apt::update'] -> Package <| provider == 'apt' |> ``` ## 開発 Puppet ForgeのPuppet Labsモジュールはオープンプロジェクトで、良い状態に保つためには、コミュニティの貢献が必要不可欠です。Puppetが役に立つはずでありながら、私たちがアクセスできないプラットフォームやハードウェア、ソフトウェア、デプロイ構成は無数にあります。私たちの目標は、できる限り簡単に変更に貢献し、みなさまの環境で私たちのモジュールが機能できるようにすることにあります。最高の状態を維持できるようにするために、コントリビュータが従う必要のあるいくつかのガイドラインが存在します。 詳細については、[モジュール貢献ガイド](https://docs.puppetlabs.com/forge/contributing.html)を参照してください。 すでにご協力いただいている方のリストについては、[コントリビュータのリスト](https://github.com/puppetlabs/puppetlabs-apt/graphs/contributors)をご覧ください。